RUNARX RUNNING COMPANY / ルナークス・ランニング・カンパニー - 埼玉県川口市のランニング・スペシャリティショップ

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シューズ考 

今回はNIKE:AIR ZOOM ALPHAFLY NEXT%(¥30,000+tax 以下アルファフライ)を見ていきます。ちなみに今回はこのシューズの細かい履き心地云々については、その前段階で語ることが多いので省略します。
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こちらは当店での取り扱いはありませんが、ランナーの誰もが気になるシューズなので「どうなの?」とお問い合わせも多くいただくこともあり、また個人的にも試してみたいので、RNX RUN CO.的な視点で分析していこうと思います。

まずは、実測データをご覧ください(9.0インチ)。
重さ:214g
ソール厚:ヒール38mm/フォアフット38mm
ドロップ:0mm
インソール:接着
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アルファフライ、なんとゼロドロップ!
ウソでしょ?!数度計測し直しましたが、結果は変わりませんでした。
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ALTRAのような考えによるゼロドロップはわかりますが、前進させるための道具でもあるランニングシューズではあまり聞いたことがありません。しかも、ミッドソールZOOM Xはとても柔らかく、逆にフォアフットのエアポッド+アウターソールの硬さからの違いによって、普通に履いて立つだけでヒール側のソールが沈み込んでしまい、つまり人が履くとつま先が前に上がる後傾の状態になってしまいます。

この状態だと、万が一ヒールで着地したらつま先の高い位置になるため、ヨイショと乗り上がる力が必要で、それはタイミングが取りづらいだけではなく、フクラハギを相当負担がかかってしまいます。また登坂走も前傾が取りづらいので、走りづらいかと想像できます。(ナイキが開発したこのZOOM Xを「柔らかく高反発」という節を見聞きしますが、履いてみた限り一般的な高反発とは違いすぎ、これを高反発というには正直無理があると思います。)
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このゼロドロップについて、ランニング指導や企画をし、アルファフライを愛用しシューズ知識に長けているウルトラプロジェクト代表の新澤さんに伺ったら、「公式には8mmドロップ」とあるとのこと。でも、どう転んでもこれを8mmドロップとは言えません。ん??確かによくよく見るとアルファフライの前足部のエアポッド付近はフラットで幅が広い・・。
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前足部で着地する前提で作られているため、下の写真のようにフラットを路面に合わせた状態がアルファフライの基本ポジションなのか?と考えました。それはまるで陸上競技のスパイクのような考えです。
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こうして実際に前足部を地面に合わせて計測するとヒール側は46mmの高さになり、この状態で一般的な8mmドロップということに。。だとするとZOOM Xのヒール側は走行中は8mm浮かせて走ることが基本ポジション?ということになります。これでは、一般的なランニングシューズのように静的に床にシューズを置いた状態のスタックハイトという考えはなく、ランニングの片脚立脚時という動的な状態でのスタックハイトということになります。確かに、箱根駅伝の選手たちの背後からの映像を見ると、足裏がしっかり見えていてほとんど踵接地してないように見え、開発者の狙いその通りなんでしょう。

そんな競技志向のアルファフライも「ランニングシューズ」というカテゴリーに入りますが、この特徴からして他のシューズと同列には扱いづらいです。それは「自動車」のカテゴリーのF1カーと一般車くらいの違い・・。ここ言う「F1カー」は速い、カッコイイという意味の他、普通の人は乗れない、一般的でないという意味が含んでいます。

実際アルファフライを昨年3月の先行発売の時は、購入できるランナーのタイムを規定し男子は2時間50分以内、女子は3時間40分以内で完走したデータを持ついわゆる"シリアスランナー"が対象にしていました。それを聞いた時「ずるい」と苛立った方もいるかもしれませんが、しかし現物を見る限りシリアスランナー限定にしたことはナイキ側の親切だったという見かたもできます。
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スーパーカーに週末に乗る感覚でカーボンスーパーシューズを履いてランニングを楽しむということもありですが、これを履いたら速く走れると思って購入したのに逆になる可能性もあるかもしれません。
「羽生選手や紀平選手と同じスケート靴を履けば、フィギュアスケートが上手くなるのか?」
「高梨選手と同じスキー板を履けば、スキージャンプができるようになるのか?」
「F1カーを買えば、ドライビングスキルが上がるのか?」
「キプチョゲ選手、大迫選手、箱根駅伝の選手が履き好タイムを出したランニングシューズ」というところだけ切り取らずに見ることが大切かもしれません。

エリートにほど遠い私が履いたところ、想定した通りジョグペースでは走りづらく、速いスピードだとブオンブオンと前に前に進ませてくれる不思議なシューズでした。しかし、このスピードは何キロまで持つのか・・と思うと、これを履きこなせる選手の素晴らしさに驚かされます。

私の感覚で恐縮ですが、最近ルナークスランニングクラブの練習で草地を走るクロカン走をしているのですが、そんな草の上を走っているタイミングの取り方に似ているなと思いました。それはアフリカ選手勢が舗装路でも走りやいようにトレーニングで慣れ親しんだ土や草の道をシューズの中に表したような。。。

ちなみにアルファフライは一般的なランニングシューズとは違うと言いましたが、アルファフライにはそんな戯言をも払拭するパワーと魅力を持っています。そしてF1シューズを開発し結果を出しランナーのモチベーションをアップさせ、また世の中がランニングシューズやマラソン、駅伝に注目させたことは、ナイキのリスクを取る姿勢があったからなので、とても素晴らしい功績です。リスクを冒さなずナイキの後追いをする某社に聞かせてあげたいくらいです。
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今年か来年、またリスク上等のシューズを出して、私たちの気持ちを高揚させ履いて走って見たくなるシューズを発表してくれることを心より期待しています。

<ここから余談ね>
ナイキ:アルファフライはフォアフットにエアポッドを搭載していますが、ナイキより前にNEWTONはフォアフット部にスプリング効果のある「アクチュエーターラグ」搭載のランニングシューズを作り続けています。実はNEWTONの創設者は元々ナイキにいて、その当時エアマックスが世界的なブームでヒールの下にエアを見せる「ビジブルエア」全盛のだったので「ヒールではなくフォアフットにエアをいれるべき」という提案も通るわけがなく、結果自身でニュートンを起こしたという話しがあります。それが今、フォアフットにビジブルエアが搭載したシューズが登場したことに、ニュートン創設者は感慨深い思いで見ているだろうなと想像してしまいました。
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