2020年6月1日発売のHOKA ONE ONE:CARBON X-SPE(¥25,000+tax)を見ていきます。
こちらは、前への転がり感、脚ケイデンス感がハンパないCARBON XをSPE(スペシャル)仕様した特別シューズです。このシューズの何が特別なのか探ってみましょう。
こちらは、前への転がり感、脚ケイデンス感がハンパないCARBON XをSPE(スペシャル)仕様した特別シューズです。このシューズの何が特別なのか探ってみましょう。
まず、基本データはこちらです。
スタックハイト:ヒール35mm-フォアフット24mm=オフセット9mm
インソール:2mm/重量:232g(25.5cm)
他:中底クッションシートあり
ソール部分はCARBON Xと同じなので、アッパーが仕様変更されているぶん約7%ほど重さがプラスされています。HOKA ONE ONE は重さがプラスにしてでも、何を目指したのでしょうか?
ホカオネオネでは、CARBON Xとの違いについて以下3点の説明をしています。
ホカオネオネでは、CARBON Xとの違いについて以下3点の説明をしています。
③モールド成型のヒール補強しサポート性が向上
これだけ見ると何となくスゴイ!、何となく機能性が良くなった気がする!と思いますね。そこを当方としては、もう少し落とし込んでみたいと思います。
①アッパー素材全体が仕様変更されました。CARBON Xのアッパーは1枚生地ですが、SPEは内部にソックス状アッパーとポリエステルアッパーの2枚で構成されています。それによって伸縮性が少なくなり「シューズ内で遊びが無くなりフィット感向上」を狙っています
②CARBON X-SPEは、シュータン(ベロ)が無く一体になっています。それにより「ソックスのように足全体のフィット感」を狙っています。それは特にトライアスロンのランのように素早く履く、素足で履くということによりプラスに働くでしょう。
③ヒールに硬質のヒールカウンターを入れることで、足関節の外側や内側への倒れ込みを抑え「着地時の不安定感を解消」しています。
これらによってCARBON Xよりもさらに「安定感の向上」を狙ったのがCARBON X-SPEで、7%の重量増の理由です。
と、ここまではHOKA ONE ONEが狙ったCARBON X-SPEの性能をお話ししました。しかし、何事も視点を変えると違うところが見えてきます。ブランド発のコメントをそのままお客様に伝えるだけでシューズの個性を知ろうとしないランニングショップなんてつまらないし、終始メーカー側についた受け売りトークのランニングショップなんてお客様にとっては不要です。そういう説明なら直営店や直営オンラインショップならもっと教えてくれますから。
ここからはCARBON X-SPEについて当方が懸念していることを上記①②③に沿ってお話ししましょう。
①伸縮性が少ないということは「幅がきつい」という方も出てくるはずです。一般的なシューズは馴染めば気にならなくなることがありますが、このCARBON X-SPEの場合はアッパーが2枚生地です。いつかは馴染むにしても一般的なシューズよりは時間がかかるかと思います。
②シュータンが持つ性能は、甲の高さに合わせてフィットできるという調整力です。シュータンが無い=甲の高さの調整幅が少ないので、例えば甲が高いの人は圧迫感を感じ、甲が低い人はシュータンがヨレて理想的なフィット感が得づらいことが考えられます。
③ヒールカウンターについては多くのランナーにプラス効果が高い(正確にはマイナス要素はない)です。
CARBON X-SPEはホカオネオネで最も転がり感が体感できるロッカーソールを持つCARBON Xに安定性が加わったことで、「シートベルトがついたロッキングチェア」のような大変魅力的なシューズであることは間違いありません。シューズ内で足が遊ばないようにフィットしてくれるおかげて、あとは着地タイミングを合わせることだけに意識すればシューズが前に転がしてくれる、というのがCARBON X-SPEの狙っているところだと思います。