9月に日本初上陸をしたランニングシューズブランドTOPO ATHLETIC(以下トポ)のロードシューズPHANTOM(以下ファントム/¥18,000+tax)を見ていきます。
メンズ8.0インチ(ウィメンズ6.5インチ):
スタックハイト:ヒール32mm/フォアフット27mm
オフセット:5mm
インソール:オーソライト5mm
重量:273g(225g)
比較的ソールが厚めで、このクラスだと他社では300gを超えるところを270g台で仕上げています。
比較的ソールが厚めで、このクラスだと他社では300gを超えるところを270g台で仕上げています。
初めて聞く方も多いトポなるブランド、すでに米国では高い評価を得ている今後見逃せない新鋭ブランドです。2013年にトポ代表が立ちあ上がる前は、トラディショナルな履き心地や軽量&クッション性をアピールするためにNYCマラソンでも走り続けたビジネスシューズ「Rockport」社、ファイブフィンガーシューズでナチュラル・ランニングを世に広げた「Vibram」社での勤務しており、それらの良い点が反映されているのがトポのシューズと言えます。
その経験から得た製品コンセプトがこの3点。
+縫い目を最小限にする技法と最新素材によって軽量化。縫い目が少ないので足当たりが快適。
+足の健康や機能性を考えた広いつま先。中足部から後足部はフィット感と安定性を重視。
+低いオフセットにすることで、本来の理想的な体重移動を意識。
今回紹介するファントムは、そのコンセプトがよく現れているシューズです。
「広い前足部」
「フィット感のある中・後足部」
つま先が広いと足がシューズの中で遊びやすいので、つま先をのぞく中足部から後足部はシューズ内で足が動かないような構造です。またシューレースは、まるで日本の前掛けや真田紐のような非伸縮で緩むことなくかっちり固定できます。
「着地の倒れ込みを抑えるヒールカウンター」
ランニングで片脚でドンと着地した時に、外側や内側に足が傾かないように樹脂製のヒールカウンターを入れ、足首や膝関節に余計な捻じれが生じないようにしています。
「つま先が反り上がりプッシュしやすいトゥスプリング」
これらの「前足部の圧迫がなく」「中・後足部はぴったりフィットし、安定させ」「前に体重移動しやすい。走りやすい。」という点でランニングシューズとして理想的ではないでしょうか。
そして、大切なクッション性能についてですが、先日このファントムのテストシューズをお借りして多くのお客様に試し履きしていただきましたが、クッション性の評価についてまちまちで「柔らかい」という人と「硬い」という人がいらっしゃいました。それを確認するためにも、あらためて私自身も履いて様々なスピードでランニングしてみましたが、私の印象ではフワフワしたクッション性はなく、ちょうど良いクッションと安定性のバランスが良いと感じました。
そして、スピードを上げてみると、見た目以上にスピードが上げやすくタイミングが合いやすく感じます。それは路面を蹴るフォアフット部分のアウターソールの素材や配置が良く、そのためファントムを硬いと感じた方は比較的スピードを上げて走ったので硬さ=反発性を感じたのかも知れません。
柔らかいシューズはスピードが上げづらく、硬いシューズは長距離走はしんどい。そんなそれぞれの走り方にもファントムは対応してくれるはずです。
柔らかいシューズはスピードが上げづらく、硬いシューズは長距離走はしんどい。そんなそれぞれの走り方にもファントムは対応してくれるはずです。
このファントムは多くのランナーにおすすめしたいシューズですが、個人的には「これからランニングを始めたい」という方に履いてもらいたいと思っています。それは決して初心者向けという意味ではなく、前述した3つの製品コンセプトはもちろんですが、柔らかい、硬い、前に転がるetcという個性が出過ぎていないため、これを履きつぶした後の次の1足が選びやすくなるはずです。
ファントムは、「ルーミー・トゥボックス(快適なつま先)」「ロー・ドロップ(自然な姿勢)」によって良いランニングフォームを気づかせ、「足を安定させるホールド感」、「ちょうどいいクッション性」「軽量」によって、ケガ無くランニングを続けさせてくれ、「スピードが上げやすいフォアフット部」によって、気持ちよく1つ上のスピードに連れて行ってくれるでしょう。先ほどは「これから始めたい方に」と言いましたが、フルマラソンシーズンに入り、走行距離を増やし怪我をしないためや、ジョグから気持ちよくペースアップさせるビルドアップ走にも対応するオールインワンなシューズなので、ベテランランナーの方にも良いと思います。