20代目を向かえたミズノ:ウェーブライダー20。
今週末まで店頭にデモシューズをご用意しているMIZUNO:ウェーブライダー20を見ていきます。
<基本実測データ>
★メンズ(26.0cm)重さ:262g/ヒール厚33mm-フォアフット厚23mm=オフセット10mm
★ウィメンズ(23.5cm)重さ:255g/ヒール厚32mm-フォアフット厚22mm=オフセット10mm
ウェーブライダーシリーズはミズノの中でも人気シューズで、特に大型スポーツ店や量販店で陳列されているのをよく見かけます。ルナークスとしては、(そういうイメージは払拭できないもののシューズに悪気はないので)適正に評価したいと思います。
最初に履いた印象は、比較的幅が広めで、ベロなど足に当たる部分は柔らかく処理されているので足入れ感は良好です。また、足指周りの前足部は縫い目がないので、ピッタリしても長距離でもひどく擦れることはないと思います。ヒールカウンターは普通~やや大きめ。足幅が広く甲が低くなく踵が細くない方には、比較的フィッティングしやすいです。そんな優等生な(もしくは無難な)フィット感なので、アドバイスなしでも量販で買われていくのでしょう。
少し掘り下げてみたいと思います。
ミッドソールはウェーブライダー20は2種を採用しています。
全面にベースとして軽くクッション性があるランニング用「U4ic(ユーフォリック)」と後足部にさらに柔らかい「U4icX(ユーフォリックエックス)」をUの字型に施され、この二つのミッドソール素材の間に横ぶれと捻じれを抑える樹脂製の「ウェーブクラウド」が挟まれています。
それぞれのミッドソールを指で押すと柔らかさの違いと2種のソールとウェーブソールの連携がよくわかります。
指で後足部の「U4icX」を押し上げると、その押し上げた圧力は「ウェーブクラウド」があることで、上の「U4ic」に影響させません。
それはまるで「U4icX」で生まれた『波』が「ウェーブクラウド」という『防波堤』によって抑え、「U4ic」では『凪』の状態を作っているかのようです。
また、柔らかい「U4icX」はUの字型や一部分に溝、ウェーブクラウドの間に隙間があることで、着地時の衝撃(波動)をそれぞれが連携して機能することで『べた凪』状態を演出しています。
実際に履いて走ってみると、確かにいつも感じる着地感もしくは下からの突き上げ感が少ないのがよくわかります。逆に、反発感が薄いぶん、しばらく蹴りのタイミングがわかりづらいことも付け加えておきます。
そして、アウターソールには耐久性のあるラバーX10をほぼ全面に貼られています。
耐久性が高くすぐに削れることは少ないと思います。しかし、その耐久性が故に馴染むまで前足部の屈曲性が悪く、踵のフィット感が悪く感じる人もいるかもしれません。その場合は、シューレースを一番のアイレットまで通すことで足首周りのホールドが高めれば解消されるでしょう。
ウェーブライダー20のお勧めの方は、「足幅が広く、甲が高い方」「ケガなど体に負担をかけたくないけど、重すぎるのは嫌という方」「ジョグでもレースペースでも使いたい方」「フルマラソンやロング練習で後半の失速を抑えたい方」「耐久性があるシューズをお探しの方」など。
逆に、「足幅が細く、踵が細い方」「普段から薄い底やソールの硬めのランニングシューズを好んで履く方」「オフセット5mm以下で馴染んでいる方」にはフィットしづらいかもしれません。
履きやすく、複雑に連携させて得る優れたクッション性と軽量性、ウェーブソールによる脱ヨコぶれ、耐摩耗性のあるアウターソール等々・・。ランナーの事を考えてまじめに真剣に製品開発に取り組むミズノに頭が下がります。
そして最後に、まじめなミズノを垣間見る部分をご紹介します。
ウェーブライダー20に限らずMIZUNOのランニングシューズは、前足部の上部裏側に生地が縫い付けられています。シューズに手を入れないと気付かないと思いますが、これは足爪でメッシュ部分に穴を開けないようにするためだそうです。
欧米各社のような派手な演出(着色)や広告はないかもしれませんが、結局信頼できるのはシューズも人もマジメで実直です。
RUNARX RUNNING CO.